妻からこんな質問をされたので、回答します。
【質問】
Q.分譲マンションのパンフレットに表示されている床面積が登記簿上の面積と異なっていることがあるときいたのですが、マンションの床面積というのはどのようにして算定されるのか教えて!
A.分譲マンションの床面積については、パンフレットや売買契約書に表示されている「壁芯計算」による床面積と「内法計算」による登記簿上の面積が相違することがあります。
【登記簿の床面積の算定方法】
建物の登記については、床面積は、「各階ごとに、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による」、つまり建物の壁芯で囲まれた部分の水平投影面積で表示する「壁芯計算」によるのが原則です。
しかし、マンションなどの区分所有建物の専有部分の床面積については、これとは別に、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による内法計算が採用されています。
このように、マンションの床面積について内法計算が使用されるのは、次の理由があります。
➀実際上の計算が困難であること
➁壁その他の区画の内部に共用部分が存在する場合など、本来同じ規格であるべき床面積について差異が生じ、固定資産税課税に際して不公平を生じることがあること
【パンフレットの専有面積の表示】
マンション分譲の実態は、建築中のマンションを分譲する「青田売り」が一般的であることから、販売にあたってパンフレットなどで表示される専有面積は、マンションの建築確認申請時に壁芯計算により算出された床面積であるのが通常です。
そこで、マンションの購入者が、専有面積について誤解をしないように、パンフレットなどの広告には専有部分の床面積は壁芯計算によるものであり、登記面積はこれより少ない旨が明記されることになっています。
また、不動産業者が売主となったり、仲介する場合には、取引の重要な事項についての説明を書面でする義務があり、パンフレットや契約書に表示された床面積と登記面積とが異なることについて誤解を生じることのないように販売面積は壁芯計算によるもので、登記面積はこれより少なくなることを説明するものとされています。
ところで、登記簿上の専有面積の表示とパンフレットなどの床面積の表示が異なり、登記簿上の面積がパンフレットなどの床面積より少なかったとしても、それが計算方法の違いにもとづくものであるかぎり、数量不足を理由として売主の担保責任を主張することができないことは以上の説明からも理解していただけるものと思います。
《参考となる法令など》
建築基準法施行令2条1項・3項
不動産登記規則115条
建物の区分所有等に関する法律14条3項
民法565条