駐車場の契約期間、駐車料の増額について

駐車場を始めたいというオーナー様からご質問頂きました。

Q.駐車場の契約期間、駐車料の増額について

【ご相談内容】

駐車場の契約期間の定め方とか駐車料の増額の方法などには、借地借家法の適用があるのでしょうか?ないとすると、どのように決めたら良いものでしょうか?

A.駐車場の使用形態にもよりますが、通常は、借地借家法の適用のないケースが多いと思われますので、原則としては、契約期間や駐車料の増額方法など全般について、当事者間の契約で自由にきめることができます。

【借地借家法の適用の有無】

駐車場としての使用形態もさまざまな種類がございます。しかし、借地借家法のある借地(建物所有目的の借地)というためには、借主が土地上に自己所有の駐車場建物を建築することが必要ですし、また、借家というためには、駐車場建物を全部借りて自分が同建物で駐車場を経営するほどでないとむずかしいでしょう。

そもそも露天の駐車場の一部を借りる場合でも、それが、土地の利用自体を直接的な目的とする賃貸借であるところの「土地の貸し借り」といえるかは疑問であり、単に地主に車の保管を委託した保管委託契約に過ぎない、とも言われているほどです。

簡単な屋根、壁の付いた駐車場の中の1台分を借りる場合でも、独立した建物部分を借りることにはならないでしょうから、同じことがいえるでしょう。

したがって、通常は、駐車場の貸し借りには、借地借家法の適用はなく、民法上の賃貸借の規定の適用もない、といえる場合が多いでしょう。

【契約期間、解約申入期間】

当該駐車場契約が、土地の貸し借りや建物の貸し借りにあたるものではなく保管委託契約にすぎないというものであれば、その契約期間については、借地借家法だけでなく民法の賃貸借期間に関する適用はありませんから、当事者は、自由に契約期間を定めることができます。期間につき、1年以上を要するなどの制約もとくにありません。

解約申入期間についても、民法の賃貸借におけるような、土地については、1年、建物については3カ月が経過しないと解約の申入れによる契約を終了させることができない、という制約はありません。

ですから、期間の定めのない契約で、特に解約申入期間の定めもなければ、理屈上は、いつでも直ちに解約することができます。

ただし、民法上の土地賃貸借だと解されるような場合には、前記のような解約申入期間が必要となってしまいますが、その場合でも借地借家法の適用はないでしょうから、契約でこれと異なる定めをすることは可能です。

その他、契約更新についても、賃貸借でなければ、更新はないのが原則ですが、賃貸借ということであれば、原則として更新があります。

【駐車料の増額方法】

借地借家法の適用がないものであれば、民法上の賃貸借にあたる、あたらないにかかわらず、賃料の増減額の方法については、とくに法律上の規定はありませんので、契約の更新に際して当事者間で自由にきめることができます。

《参考となる法令など》

民法601条、604条、617条、619条