隣地の建築工事のための掘削作業により家が傾いた場合どうなるのか?

今回は去年実際に起きた問題です。少し内容は変えてありますが、ご説明させて頂きます。

Q.隣地の建築工事のための掘削作業により家が傾いた場合どうなるのか?

【実際の内容】

隣地で建築工事のための掘削作業が行われてからしばらくして、私の家が傾きました。工事業者は掘削作業とは関係がないと言っているのですが、納得できません。

A.隣地で掘削作業が行われた場合、土止めが不十分ですと地盤が不同沈下等して、周辺の建物が傾くなどの被害が生じることがあります。掘削作業と建物が傾いたこととの間の因果関係が判然としない場合もあり、どのような場合に工事業者等の責任と問うことができるかが問題となります。

※因果関係の有無を判定する為の諸条件を見てみましょう。

【掘削工事と建物の傾き】

掘削工事の前に建物が傾いていなかったのに、掘削工事が行われた後に傾いていた事がまず重要ですです。従来から若干の傾きがある場合、掘削工事後に一層傾いたという場合も工事と傾きとの因果関係が認められる事があります。

【掘削工事現場に近い程傾きが大きい】

掘削工事と建物の傾きとの間に因果関係が認められる場合、掘削工事の現場に近い程、傾きが大きいのが普通です。逆の場合は、掘削工事との因果関係を認め難いのが通常でしょう。

【掘削底面からの角度】

土地を掘削した場合、掘削底面から45度の角度をこえる範囲の土地の地盤に影響が生じるといわれていますから、その範囲にある場合は、掘削との間の因果関係が疑われるといえるでしょう。

【土止めの工法】

掘削工事を行う場合、周辺地盤への影響を防ぐために土止めが行われますが、地盤の状況によっては土止めの工法が適していない場合があります。とくに水分を多く含んだ地盤の場合は、掘削面から水分が流出しやすい工法によると周辺の地盤に不同沈下が生じやすく、建物が傾く原因となります。

【工事業者等の責任】

掘削工事が原因で建物が傾いた場合、地盤の強度調査を怠ったとか、土止めをしなかったり、採用した土止めの工法が適当でなかったなど施工にあたった工事業者に過失があれば、工事業者に損害賠償責任や現状回復義務があるといえます。しかし、工事を発注した施主については、これらについて工事業者に対して具体的に指示したなどの事情がないかぎり、責任はないと考えられます。

最終的には建物が傾いた原因が隣地の掘削作業であるか否かは最終的には土木工学その他の専門的見地からの鑑定等を待たなければなりませんが、以上の諸条件から一応の判定が可能かと思います。

《参考となる法令など》

大阪地判平10・7・31判時1669・93