将来の売買を確実にする方法はあるのか?

現在お手伝いさせて頂いておりますお客様からこのようなご相談がありました。

Q.将来の売買を確実にする方法は?

【相談内容】

友人の紹介で、希望どおりの物件をみつけました。その所有者は6カ月先に転居する予定で、そのときまで契約を待ってほしいといっております。売主の気が変わらないともかぎりませんので、確実に買える方法はありませんか?

A.本契約を締結し、引渡しの時期を6ヵ月先にすることができるのであればよいと思いますが、将来売買契約を締結する予約契約を結ぶことも可能です。

【売買の予約】

予約契約には2種類あります。第一は、例えば買主が本契約を締結したいという申込みをすると売主はこれを承諾しなければならないという義務を負うという内容の予約です。その場合、買主だけというように当事者の一方が申込みの権利を持っているものを「片務予約」といい、双方が権利をもっているものを「双務予約」といいます。

第二は、例えば買主が本契約を締結したいという意思表示(予約完結の意思表示)をすると、売主の承諾を要しないまま本契約が成立するという内容の予約です。この場合も、契約を成立させる権利を一方だけがもっているものを「一方の予約」といい、双方がもっているものを「双方の予約」といいます。

【2つの予約の違い】

以上の2つの予約の違いは、第一の予約では、本契約の締結を申し込んでも直ちに本契約が成立するのではなく、たんに承諾の義務を負わせるにとどまるのに対して、第二の予約では、本契約の締結を通知することにより直ちに売買契約が成立することです。予約契約で確認しておくべき事項は、以上に述べた予約の型のうち、どの形の予約であるか?という点や、予約を完結させるべき期間をどのように定めているか?です。なお、民法では、「売買の一方の予約は相手方が売買を完結する意思を表示したる時より売買の効力を生ず」と規定していますが、これは、第一の予約を禁じる趣旨ではありません。ただ、本契約が相手方の承諾だけで成立しうる場合には、第二の意味での予約でありと解するが適当だといえるでしょう。

【予約完結期間が定められていない場合】

予約を完結させるべき期間が定められていない場合には、予約者は相当な期間を定めて予約を完結するかどうかを催告することができ、その期間内に確答が得られないときは、その予約の効力が失われることになります。

【予約上の権利の確保】

予約上の権利を確保する方法として、所有権移転請求権の仮登記があります。これは、現在は所有権が売主にあるので、本登記をすることはできないものの、将来の所有権を移転してもらうという請求権を保全するために認められる仮登記で、代物弁済の予約や再売買の予約など、予約上の権利を確保する方法です。

この仮登記をすることにより、仮に売主が第三者に対して売却して登記をしたとしても、その後、予約完結の意思表示をして仮登記にもとづく本登記をすることにより、第三者の有する本登記に対して後の登記が優先することになるのです。このような仮登記は、登録免許税も安いですから、予約契約を締結した場合にはぜひ利用するべきものです。

※かといって登記する手間等もございますので、売主へきちんと内容を説明して、本契約を締結させてもらい引渡しの時期を6ヵ月先にしてもらえる様にした方が良いかと思います。

《参考となる法令など》

民法556条